2016.03.14

関節リウマチの診断キットおよびリウマチ生物学的製剤の効果判定用体外診断用医薬品のライセンス契約締結について

当社は、株式会社ケイティーバイオ(本社:千葉県船橋市 代表取締役:津坂憲政)と同社が自社創製した二つの製品に関する米国を含めた一部の国における独占的な開発・商業化の権利を導入する契約を締結しましたのでお知らせいたします。

関節リウマチ(Rheumatoid Arthritis)は、我が国における患者数が約70~80万人と言われており、体の複数の関節に炎症が起こり、痛みや変性が生じる免疫疾患です。近年、慢性関節リウマチの治療は生物学的製剤(以下「バイオ製剤」)の登場などで飛躍的に進歩してきました。
関節リウマチに対するバイオ製剤は非常に高額であり、世界の医薬品売り上げ上位に名を連ねています。しかし、このバイオ製剤は同じく関節リウマチに適応があっても種類が異なる薬Aは効くものの、他の薬Bは効かないという患者さんがいる一方、逆にBは効くもののAは効かないという患者さんがいることがわかっていました。このような場合、初めの薬が効かないと、他の薬が試され、高額な医療費が無駄になるということが起こってしまいます。さらに、関節リウマチに対するバイオ製剤は重篤な副作用が発現することもあり、投与前に自分に適した薬が見つけられれば患者さんにとって大きな福音となります。

当社ではこの度、ケイティーバイオ社より「バイオロジックメイト®」(※1)という製品を開発・商業化する権利の一部を取得いたしました。バイオロジックメイト®は、バイオ製剤投与前の血中ADAMTS5(※2) mRNAの発現量を測定することで特定の患者さんにおいて複数のバイオ製剤の効き目を一度に判定することが可能となるかもしれない検査技術です。当社はバイオロジックメイト®のラインセンスの一部を受けることにより、今後、開発を積極的に進め、結果的にその効果が示されれば、慢性関節リウマチ患者さんにとって大いにメリットがあると考えております。

また、この度、バイオロジックメイト®に加えて、ケイティーバイオ社より、「タリンテスト」(※1)の開発・商業化の権利の一部を取得致しました。タリンテストは、リンパ球内の細胞接着領域に発現されるタンパク質であるタリンが、関節リウマチ患者さんの血液中では短いフォーム(ショートタリン)で発現している点を利用した新しい関節リウマチ診断方法です。タリンテストはこれまでの関節リウマチ診断法に比べて、感度・特異度が向上している可能性があります。さらに、初期診断だけでなく、慢性関節リウマチの治療経過のモニタリングに使用できる可能性もあります。バイオロジックメイト®同様、今後、開発を積極的に進め、結果的にその効果が示されれば、慢性関節リウマチ患者さんにとって大いにメリットがあると考えております。

当社では、引き続き、アンメット・メディカル・ニーズに対する新しい治療の確立に注力すると共に、再生医療・ゲノム解析・Internet of things(IoT)・ロボット・人工知能等の発展により徐々に医療の垣根が取り払われつつある状況を適切に捉え、医療機器の事業化にて培ったノウハウをもとに、さまざまな医療イノベーションの事業化を手掛けていくことで、弊社のビジョンである「日本発の医療イノベーションを世界に」の実現を目指すと共に、医療の質の向上・医療産業界の活性化への貢献を寄与してまいります。

※1:「バイオロジックメイト®」および「タリンテスト」は、国内外において未承認の製品です。
※2:ADAMTS(a disintegrin and metalloproteinase with thrombospondin motifs) ファミリー分子は、MMP(matrix metalloprotease)ファミリー分子やADAM(a disintegrin and metalloproteinase)ファミリー分子とよく似た構造式をもつ軟骨破壊酵素として知られています。その中でも、ADAMTS5分子は、関節リウマチや変形性関節症(OA)患者血中に発現されOAの起因分子とも考えられています。このADAMTS5分子の発現はTNFαでもTGFβでも誘導されないことが報告されています。また、最近になってIL-6がADAMTS5発現を抑制するという報告がされました。(引用元:株式会社ケイティーバイオ, http://www.kayteebio.com/adamts5-jp-ph-q1-new/)
 

■会社概要
会社名:株式会社ケイティーバイオ( http://www.kayteebio.com/
代表者:代表取締役 津坂 憲政
所在地:千葉県船橋市北本町1-17-25
設立:2010年(平成22年)